認知症に寛容な世の中へ
2020年2月25日 午前7時30分【論説】認知症の人が生き生きと働くことができる「注文をまちがえる料理店」の取り組みが浸透してきた。寛容で優しい社会の進展につながっていくか、今後に注目したい。
2017年に東京都内で開かれた期間限定の飲食イベントが始まりで、趣旨に賛同した人たちによって全国に広まった。店のフロアでは認知症の店員が接客や配膳を行う。時には何を注文されたか忘れて聞き直しに行ったり、違う机に料理を運んだりすることもあるが、店内の空気は穏やかで笑顔が絶えないという。
認知症の人を常時雇う店もある。愛知県のある食堂では、認知症の60~80代の男女4人が働く。「お客さんも気にせずに触れ合えて、認知症の人を社会で生かす方法になる」との店主の考えには共感を覚える。
2年ほど前に認知症と診断された70代の女性店員は「働き始めてから元気が出ました。記憶が時々消えてしまうけれど、仲間と補い合い、楽しく仕事をしています」。ミスしても責めることなく、人権を尊重する店側の姿勢が、働く人のやりがいを導いているのだろう。近所の客からも「ここは人として認め合える安心感があって癒やされます」と好評を得ている。
このような温かみを感じさせる「料理店」の取り組みは、厚生労働省が推進する「地域包括ケアシステム」の精神とも合致するように思える。介護が必要な人も、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるような態勢を整えるのがケアシステムの目標。ただ、地域で支える仕組みの構築に向けては、自治体の意識に温度差があり、住民も自分事として捉えにくいとの指摘もある。
その点、地域の飲食店での活動は、身近な「食」を通じて認知症への認識が深まる格好の機会と言える。一つのお手本として見ていきたい。
これら「料理店」以外にも、認知症に優しいまちづくりを目指す動きはさまざま。東京都町田市には、大手コーヒーチェーンの店舗に認知症の人と支援者らが集って本音で語り合う「カフェ」がある。介護事業所には認知症の人と同伴者が一緒に入れるトイレが設置された。いずれも当事者の声が原点になっている。
こういった地道な活動が人々の目に触れ、関心が高まっていくことが肝要だ。「認知症の人が社会で人とつながれる場所があれば、多くの人が認知症を理解でき、誤解や偏見は減っていくはず」という先の食堂店主の言葉が全てを言い表しているような気がする。
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February 25, 2020 at 05:30AM
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