豚汁が人気の町中華
まいど、下関マグロっす。
典型的な町中華のお店なんだけれど、なぜかおふくろの味「豚汁」がやたらとおいしいお店があるんですよ。
すごく具だくさんの豚汁で、満足度がとても高いんですね。
場所は、東京メトロ東西線の神楽坂駅と早稲田駅の間くらいに位置しています。
住所でいえば新宿区榎町になります。
早稲田通り沿いにある「五芳斉(ごほうさい)」というお店です。
家庭的な雰囲気の店内ですね。
迎えてくれたのはこちらのお方。
店主の森下よし枝さんです。
──こちらのお店、よし枝さんで何代目なんでしょうか?
よし枝さん:私の主人の父が創業者で、1950年(昭和25年)、ここでお店を始めました。主人が継いで2代目。主人が亡くなった後、私が引き継いだので3代目になります。
ご主人が亡くなられたのが、2010年(平成22年)。以来、よし枝さんが1人で厨房を担当していらっしゃいます。
よし枝さん:主人と私の2人でやっていたころは、たくさんのメニューを出していましたが、1人だと無理なので、今はメニューを絞ってやっています。
──なんでもやめてしまったメニューがたくさんあるなか、よし枝さんの代になってから増えたメニューもあるんですよね。
よし枝さん:はい、私の代から豚汁をメニューに加えました。ウチの定食にはおみそ汁じゃなくて豚汁をつけています。
──では、いちばんの人気のある定食メニューをつくっていただけますか?
よし枝さん:いちばん人気があるのは鶏唐揚げ定食ですね。
鶏唐揚げの量がすごい
さっそくつくっていただきました。
ここの鶏唐揚げ、おいしいんですよねぇ。
くー、こりゃ間違いないですね。
▲鶏唐揚げ定食(780円)
あっという間に提供されました。
こちらのお店、町中華なのに、揚げ物がおいしいんですよ。ほら、鶏唐揚げの量がすごいでしょ。そして、どの定食にも温泉卵と豚汁がついてくるのもうれしいですよね。
カリッと揚がっていて、おいしいんですね、鶏唐揚げ。
あ、今日は鶏唐揚げの話じゃなかったですね。豚汁でした。
──では、豚汁のつくり方を見せてもらえますか?
よし枝さん:もちろんいいですけど、本当になにも特別なことはしていないですよ。
──普通につくってください。おいしさの秘密をさぐります。あ、そうだ、秘密のひとつはわかっています。こちらの豚汁には、厚揚げが入っていますよね。それがとてもおいしいのです。最初にいただいたとき、この厚揚げ、どこのですかと聞きましたね。
よし枝さん:はい、お店のお隣の丸山豆腐店さんから買っているんです。
お隣の厚揚げが140円なんです。何気ない厚揚げですが、これが豚汁に入ることで、とてもおいしくなるんですね。
では、材料を見せてもらいましょうか。
絶品な「豚汁」の材料と作り方
──これで何人前くらいなんですか?
よし枝さん:そうですね、これで10~15人前くらいでしょうか。独身の方や家族数名分なら、この1/3とか1/4の分量でいいと思いますね。
──けっこうアバウトに分量を考えていらっしゃるんですね。
よし枝さん:大根の大きさで何人分かが変わってくるんです。様子を見ながら作っていますね。
▲豚バラ肉 500g
▲合わせ味噌 195g
▲和風だしのパックが3袋
よし枝さん:だしパックは中身を出して使います。(※編集部注:だしパックによっては、中身が食べられない商品もあります。必ず「中身を取り出して使えること」が明記されているだしパックをご使用ください)。
3袋で52gほどですね。材料をまとめてみました。
【豚汁・材料(10~15人分。作りたい人数分に応じて、この1/3や1/4の分量にする)】
- 大根 1本
- 玉ねぎ 1個
- 人参 2本
- しめじ 1パック
- ゴボウ 1/3本
- 厚揚げ 1枚
- こんにゃく 1枚
- 豚バラ肉 500g
- 合わせ味噌 195g
- 和風だしパック 3袋
- 水 2リットル
- サラダ油 分量外
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よし枝さん:人参なんかは大きいものだと1本でいいのですが、今回は小さかったので2本使いました。
──なるほど、臨機応変なんですね。ジャガイモや里芋は入れないのですか。
よし枝さん:芋系が入ると豚汁が傷むのが早いんですよ。なので、芋系は入れていませんね。
──あ、なるほど。
よし枝さん:毎日火を入れていれば、夏場とかでなければ3、4日は持ちますよ。
なるほど、多めに作って少しずつ食べるのもいいですね。やはり多めにつくるとおいしくなりますよね。
では、作り方のコツを教えてください。
最後にゴボウを切るのがポイントです
よし枝さん:まずは、大根から。ピーラーで皮を剥いたら。イチョウ切りにします。
よし枝さん:人参も皮を剥いて、イチョウ切りですね。
よし枝さん:こんにゃくは小さめの拍子切りで。
よし枝さん:厚揚げはさいの目に切ります。
よし枝さん:玉ねぎはくし切りにします。
よし枝さん:最後にゴボウを切ります。
──ゴボウ、ささがきにしたりとかはしないんですね。
よし枝さん:ええ、何度か煮込むと形がなくなっちゃうので、これぐらいの大きさに切ります。
と言いながら、よし枝さんの動きが慌ただしくなってきました。
大鍋にサラダ油を入れて、ゴボウを投入しました。
よし枝さん:ゴボウって、普通は切ったら水につけてアク抜きをするじゃないですか。でも切ったあとすぐに炒めれば、アク抜きをしなくていいんです。
──おお、それ大きなポイントじゃないですか。僕はいつもゴボウは水につけてアク抜きをしていましたよ。この方法なら時間が短縮できますね。
ゴボウをさっと炒めたら豚肉を投入します。
よし枝さん:次に玉ねぎを炒めたら、水を2リットルとだしパックの中身を入れて煮出します。
よし枝さん:大根、人参、しめじ、こんにゃくを入れて、10分ほど煮込みます。
具材が煮えたところで、ざっとアク取りをします。
そして、厚揚げを。厚揚げは最後なんですね。
煮立ったら弱火にして、味噌コシで合わせ味噌を溶きます。
味見をしています。
よし枝さん:うーん、あともう少しお味噌を入れたほうがいいですね。
大さじ1くらいを追加しました。
味付けは最初は少し薄めにして、最後にプラスするのがコツのようです。
よし枝さん:はい、出来上がりました。
──いやぁ、さすが手早くパパッとつくられますね。
▲豚汁(250円)
豚汁は単品もありますよ。少し大きめな器で出てきます。
よし枝さん:今はあまりいらっしゃらないですけど、昔は豚汁とごはんを注文して召し上がる方がいらっしゃいましたね。
──それ、わかるなぁ。豚汁とご飯はなかなかいい組み合わせですよね。
辛くて痺れる「麻婆麺」もおいしい
──ところでもう一品、お隣の丸山豆腐店さんのお豆腐を使ったメニューがありますよね。
よし枝さん:麻婆麺ですね。これ、主人がお店に立っていた時代とはかなり変えました。主人のはニンニクの効いた昔ながらの麻婆だったんですけど、私の代になって、辛みや痺れも加えました。
──なるほど、ではつくっていただいてもいいですか?
よし枝さん:辛めにしましょうか?
──おお、辛さを指定できるんですね、では辛めでお願いします。
▲木綿豆腐を使います
こちらのお豆腐もお隣の丸山豆腐店から購入しているそうです。
麻婆麺に使うのは木綿なんですか?
よし枝さん:たいてい、木綿ですね。まずはお豆腐を下茹でします。
よし枝さん:使うのは木綿豆腐半丁です。必ず下茹でするのが大事。
よし枝さん:タレと豆腐をからめます。
よし枝さん:スープを丼に入れて、茹でた麺を入れます。
丼に盛り付けて出来上がりです。あっという間に出来上がりました。
やはりプロの手際はすごいですねぇ。
▲麻婆麺(680円)
豆腐は大き目ですね。
けっこう辛くて、頭皮から汗が噴き出してきましたよ。
おいしいです。豚汁もいいけど、麻婆麺もいいですねぇ。
ご主人が亡くなられてから、その遺志を継いで今日もお店に立つよし枝さん。
「おふくろの味の町中華」を味わいたかったら、ぜひ五芳斉に一度足を運んでみてほしいですね。
撮影:平山訓生
お店情報
五芳斉
住所:東京都新宿区榎町41
電話番号:03-3268-7539
営業時間:11:00~14:30 18:00~20:00 ※売り切れ早仕舞いあり
定休日:土曜日・日曜日・祝日(定休日以外にもお休みになる場合があります)
書いた人:下関マグロ
1958年生まれ。山口県出身。出版社、編集プロダクションを経てフリーライターへ。『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『歩考力』(ナショナル出版)、『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、に『ぶらナポ 究極のナポリタンを求めて』(駒草出版)など著書多数。
"店" - Google ニュース
February 06, 2020 at 07:00AM
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