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遊びじゃないの(4) - 読売新聞

▽過去の連載
 遊びじゃないの(1)(2)(3)

 中2のダブルエース・エリカとミナがチームに加わった2018年、我がドッジボール部にはもう一つ大きな変化があった。

 ものすごい外部指導員が加わったのだ。

 吉田隼也さん――。ドッジボール日本代表の選手兼総監督にして、超イケメン! まさに日本のドッジボーラーの憧れの存在だ。

 なんで、そんなレジェンドが私たちの学校に教えに来てくれるようになったかというと、顧問の先生がダメ元で頼んでみた、というのが正直なところ。

 この連載の初回でも話したけど、ドッジボールはまだまだ小学生の遊びというイメージが強い。中学・高校の部活として本格的にやっているのは全国でもうちぐらいだし、日本代表があるなんて初めて知ったという読者も多いだろう。

 「競技ドッジボールの裾野を広げるために、何とか手助けをしたい」。吉田さんはそう思ってくれたようだった。

 こうして始まったレジェンドによる指導は年5回限定。初めて練習を見たとき、吉田さんは「この仕事、面白くなりそうだな」と思ったそうだ。

 私たちに才能を見いだした、というわけではない。

 基礎練習のやり方を知らず、やってることは遊びの延長線上。なのに一生懸命さだけは本物だったから……なのだとか(笑)。

 「これからみんなに一からドッジボールを教える」

 吉田さんにそう言われたとき、私たちはこれまでにない胸の高鳴りを感じた。

 秒単位でめまぐるしく攻守が入れ替わるドッジボール。吉田さんの指導を受けて、私は改めて「勝負の神は細部に宿る」と思い知らされた。

 ボールの投げ方一つとってもそう。今までは自己流でやっていたけど、野球の投球フォームと同じで、ボールのコントロールを上げるにも、速い球を投げるにもコツがある。

 キャッチも同じ。基本に忠実に練習しなければ、効果は上がらないし、投げる捕るは基礎動作だけに試合では、小さな差が大きな差になって表れる。

 吉田さんの指導は数か月に1度のペースだけど、チームに劇的な変化をもたらした。だって、みんな憧れの人をびっくりさせようと練習に必死になったし、そもそも今までは効果的な練習方法も知らなかった。ただ一生懸命やっていた日々の練習が日本代表総監督の教えを定着させる“復習”の時間になったのだ。

 特にうらやましかったのは、エリカとミナのダブルエース。中1の最初から日本トップの吉田さんに基礎基本を教えてもらえるなんて! 彼女たちの成長曲線は半端なく、たった1年で高2の私たちに並ぶ戦力になってしまった。

 「もしかして、私たち強くなってるかも」。そんなふうに思えてきた2019年の秋、格好の腕試しの機会がやってきた。

 関東1都6県で活動しているドッジボールチームやサークルが集う「関東ドッジボールリーグ秋季リーグ戦」(女子の部)。

 中学・高校の部活による大会は存在しないため、大人たちが出場する格上の大会に出場せざるを得ない我がドッジボール部はここ2年間、公式戦での勝利からは遠ざかっている。

 これまでは、情熱だけでは越えられない高い壁にはね返されてきたけど、今回は違う。私たちには吉田さんの教えがある。

 情熱+基礎基本=?

 この答えをコートの上で出すときが、来た。(高校生の登場人物は全て仮名です)

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