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惑星の分布にみられる偏りは「ガスの嵐」が影響していた? - sorae

相次ぐ太陽系外惑星の発見や原始惑星系円盤の観測などによって、若い恒星の周囲でどのようにして惑星が形成されていくのか、そのプロセスが明らかになりつつあります。今回、惑星の成長を左右する一因として、若い恒星を取り囲む原始惑星系円盤に含まれる塵の性質と、円盤内で生じるガスの流れに着目した研究成果が発表されました。

■恒星に近い惑星は軽く、遠い惑星は重いのはなぜか

太陽系の天体をもとにしたモンタージュ(Credit: NASA/JPL)

すでに4000個以上が見つかっている系外惑星の「質量」と「恒星からの距離」の関係に注目すると、恒星に近い系外惑星は軽く、恒星から遠い系外惑星は重いという傾向が見えてきます。この傾向は太陽系でも同様で、内側の4つ(水星、金星、地球、火星)と外側の4つ(木星、土星、天王星、海王星)を比較すると、内側は岩石質の軽い惑星、外側はガスが豊富な重い惑星に分けることができます。

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こうした惑星の分布にみられる偏りを説明するべく、桑原歩氏黒川宏之氏(いずれも東京工業大学)は、惑星のもとになる塵が集まる様子をシミュレーションで解析しました。その結果、恒星からの距離が1~10天文単位の領域では木星のように巨大なガス惑星が形成されやすい反面、1天文単位以下の領域では塵が集まりにくく、軽い惑星が形成されやすいことが明らかになりました。

今後は形成途上にある惑星の内側や外側への移動なども考慮することで、今回の研究成果がより現実的な惑星形成理論へと発展していくことが期待されています。

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■軽い塵はガスの嵐に吹き流され、重い塵は嵐を乗り越えて降り積もる

今回の研究で示された原始惑星の成長率を示したグラフ(実線、点線は従来のモデル)。右に行くほど恒星からの距離が遠く、上に行くほど質量が大きいことを示す。黄色い範囲(恒星から1~10天文単位)では惑星が重くなりやすく、赤い範囲(同1天文単位以下)では軽くなりやすい(Credit: Kuwahara & Kurokawa 2020)

今回の研究によると、惑星の重さを左右するポイントは2つあります。1つ目は、形成された原始惑星の周囲で吹き荒れるガスの嵐です。桑原氏らは、原始惑星の重力によって嵐のように乱されたガスの流れをシミュレーションによって再現しています。

2つ目のポイントは、惑星の材料となる塵の重さです。恒星からある程度離れたところにある、水が氷になるかどうかの境界「雪線」(スノーライン)より外側では、塵の表面に付着した水の氷の作用で塵どうしが結びつきやすく、塵そのもののサイズが大きく重くなります。いっぽう、雪線より内側では水が氷にならないため、塵どうしが結びつきにくく、塵のサイズも小さく軽くなります。

シミュレーションの結果、雪線より外側では重い塵がガスの嵐を乗り越えて原始惑星へと降り積もりやすいものの、雪線の内側では軽い塵がガスの嵐に吹き流されてしまうため、原始惑星の成長も鈍ることが判明しました。「恒星に近い惑星は軽く、恒星から遠い惑星は重い」という偏りが、領域ごとに異なる塵の重さとガスの嵐の影響によって説明できることを今回の研究は示しています。

なお、天王星や海王星が木星や土星よりも小さい理由については、二酸化炭素の雪線(水の雪線よりも遠くにある)による影響が指摘されています。水の氷とは異なり、二酸化炭素の氷に覆われた塵は結びつきにくくなることから、天王星や海王星が誕生した領域では木星ほど巨大な惑星には成長しにくかったと考えられています。

Image Credit: Kuwahara & Kurokawa 2020
Source: 東京工業大学地球生命研究所
文/松村武宏

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January 29, 2020 at 07:21PM
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