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【老舗企業~かながわ~】年末編 近沢レース店 元町で時代を超えて愛される - 産経ニュース

 ■心を豊かにする製品づくり

 「レースといえば近沢」と言われるように、国内でレース製品を取り扱う、歴史ある店として不動の地位を築く「近沢レース店」は、いくつもの時代を超えて人々に愛されてきた。時代の流れとともに生活スタイルが変わるなかで、常に人々のニーズに合わせたレース製品を開発。代表取締役社長の近沢弘明さん(70)は「守っていくもの、変えていくものを見極めてきた」と話す。

 明治34年に絹の輸出商を生業として創業後、開港で西洋文化が栄えた横浜の元町で、もともとはリネン業を営んでいた。そのとき作っていたオーダーメードのテーブルクロスやブラウスに、刺繍(ししゅう)やレースを施したことが評判を呼び、レース店としてスタートした。

 ◆移りゆく商品

 当時の元町商店街(現・横浜元町ショッピングストリート)は「西洋人のための商店街」として、パン屋や洋服屋、家具屋など、新しく入ってきた西洋文化の影響を強く受けた店が集まり、同店も西洋人から信頼を得ていった。

 戦後は、レース製品をギフトとして贈る人が増えた。お中元の文化や、出産祝いにプレゼントを贈る人の需要に目をつけ、コースターやハンカチ、出産祝いセットなどを売り出していった。それまでは生活用品として買われていたレース製品が、戦後は「ギフトとして注目を浴びるようになった」と近沢社長は振り返る。

 また、客のターゲットが西洋人や一部のレース愛好家だけでなく、一般市民となったことで、「より多くの人々にレースが親しまれていった」(近沢社長)。ハンカチやエプロン、ポーチといった小物を中心とした製品が人気を博した。

 ◆キティとコラボ

 現在も小物商品が主力製品だというが、一方で現在、新しい「近沢レース店」の可能性が感じられる新商品が発売されている。「サンリオ」(東京都品川区)とコラボレーションし、同社のキャラクター「ハローキティ」をモチーフにした商品だ。

 タオルハンカチやポーチに、キティの顔のシルエットをかたどったオリジナルデザインのレースが施された商品は“キティマニア”のハートをがっちりとつかんだ。この企画を仕掛けた社長の長男で、取締役の近沢匡祐(ただすけ)さん(41)は「さまざまな形で近沢のレースを知ってほしかった」と狙いを語る。

 続けて、同社のメインの顧客は中高年の世代だが、「今のお客さまを大切にしながら、もっと多くの世代にレースに親しんでほしい」と話す。

 ◆誰でも使って

 時代のニーズに合わせた商品を開発してきた同社だが、長い歴史のなかで「レース」から離れたことはない。「レースは高価で手が届きにくいもの、という印象がある人が多くいるかもしれないが、誰にでも使ってほしい」と近沢社長が言うように、同社の製品の価格帯は幅広い。2千円でおつりがくるようなポーチもあれば、10万円を超えるテーブルクロスも売られている。

 「身の回りにレースがあることで、心が豊かになる」と近沢社長。これからの同社の未来を担う匡祐さんも「近沢のハンカチを持っていると、いつもよりも気分が明るくなるような気がする、そんなふうに思ってもらえれば」と話す。

 社長の3人の息子はいずれも家業に就いており、長く同社を引っ張ってきた近沢社長は「そろそろ私も身を引く」としている。新たな世代が「近沢レース店」の魅力を、より一層引き出し、これからも、時代とともに多くの人に愛されるレース製品が生み出されていくだろう。(浅上あゆみ)

                   ◇

 ■個性的な限定デザイン「タオルハンカチ」

 愛媛・今治産のタオル地に、オリジナルデザインのレースがあしらわれた「タオルハンカチ」は、古くからの同社の人気商品だ。ところが最近、異なるデザインの「シーズンタオルハンカチ」を毎月、枚数限定で売り出すようになってから、タオルハンカチ全体の売り上げ枚数が、約1・7倍に伸びたという。今年1年間では、約30万枚を売り上げる大ヒット商品となった。

 もともと、働く女性に手軽にレースのハンカチを使ってもらえるよう“ノーアイロン”で使える商品として開発された。タオル地の色やレースデザインのバリエーションも多く、自分用としても、贈り物としても重宝されている。

 加えて約4年前から、通年で販売しているもののほかに、「シーズンタオルハンカチ」の販売を開始。季節の花や動物、イベントに合わせたお正月のだるまなど、レースデザインは個性的でかわいらしい。また、今年の8月には、ラグビー・ワールドカップ(W杯)にちなんだラグビーボールをモチーフにした商品が人気を博した。いずれの商品も、発売から約3カ月以内には売り切れてしまうという。

 限定商品を狙って、継続してハンカチを購入する客も多いという。匡祐さんは「“限定”というのがお客さんの心をくすぐっているのかもしれない」と話す。通年販売のタオルハンカチは1枚1千円前後で、シーズンタオルハンカチの値段は各種。

                   ◇

 ■近沢弘明社長に聞く 母から娘に受け継がれて

 --商品はどこで購入できるのか

 「横浜市中区の元町に本店を構え、関東を中心とした全国19の直営店でご購入いただける。ほかにも、海老名サービスエリア(下り)など45の店舗で一部商品の取り扱いがある」

 --オンラインでも購入できるのか

 「できる。公式ストアでは、アイテムや価格帯、シーンごとに商品が見やすく分けられているので、贈り物を選ぶのにもぴったりだ」

 --レース製品は女性向けという印象があるが、男性向けのものもあるのか

 「私はレースハンカチをポケットチーフとして、スーツの上着ポケットに入れて使っている。おしゃれのワンポイントとしてスーツにはレースが際立つ。ほかにも、男性には特に麻のハンカチがおすすめ。速乾性に優れているので、あぶらとり紙のように顔を拭けてべたつかない。ハンカチを清潔に保つことができる」

 --客はどのような世代が多いのか

 「50、60代の成熟した女性が客層のメインだが、母娘で一緒に買い物に来るお客さまも店内で見かける。母親からタオルやポーチを買ってもらって喜んでいる女性の姿を見るのは私たちもうれしい。また、『母親がずっとお店のファンだから』と買いに来る方も多くいる。母から娘へ、レース文化が受け継がれていることは、店としても大切にしたいと思っている」

 --これからはどのような商品を開発するのか

 「今までと変わらずレースにこだわり、時代に合わせてお客さまの要望に応えた商品を開発したい」

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【プロフィル】近沢弘明

 ちかざわ・ひろあき 昭和47年、慶応大学経済学部卒。同年、家業の「近沢レース店」に入社。53年、前社長(父の竹雄氏)の死去により、代表取締役社長に就任し、現在に至る。54年、有限会社から株式会社に組織変更。70歳。横浜市出身。

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 ■近沢レース店

 ▽本店所在地=横浜市中区元町3の119 (045・641・3222)

 ▽本社所在地=横浜市中区石川町1の40の1

 ▽創業=明治34年5月

 ▽設立=昭和26年5月

 ▽資本金=5000万円

 ▽従業員数=約150人

 ▽売上高=10億8000万円(平成30年)

 ▽事業内容=インテリアレースの輸入販売、製造販売

 ▽取り扱い商品=テーブルクロス、テーブルセンター、テーブルマットドイリー、タオル、エプロン、ブラウス、ハンカチ、服飾雑貨

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December 31, 2019 at 05:03AM
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