国立天文台は5日、アルマ望遠鏡が原始惑星系円盤内の3次元的なガス流をとらえたと発表した。異常なガス流の原因は形成中の惑星によって作られた可能性が高いという。
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■大半が一酸化炭素ガスの原始惑星系円盤
太陽系のような惑星系は、原始惑星系円盤から生まれたと考えられる。新しく誕生した恒星を取り巻く原始惑星系円盤は塵やガスから構成され、惑星へと成長する。そのため、惑星の形成理解には原始惑星系円盤の研究が不可欠だという。
原始惑星系円盤の主成分は、質量の99%を占める一酸化炭素ガスだ。米ミシガン大学の研究グループはガスの流れから惑星を発見する手法を新しく提唱した。国立天文台が運営する南米チリ・アタカマ高地のアルマ望遠鏡が、ガス流の観測に使用された。アルマ望遠鏡は天体が放つ電波をとらえられる干渉計で、ガス流の立体的な流れの測定が可能だという。
■公転以外の流れを示すガス
研究グループが測定したのが、若い恒星「HD 163296」周辺の一酸化炭素ガスだ。通常円盤内のガスは恒星の周りを公転するが、円盤内を上下移動するなど異常な流れが今回確認された。研究グループによると、原始惑星系円盤内に惑星が存在するのが原因だという。
円盤上層から中層にかけてのガス流の移動は、1990年代後半から予想されていた。だが今回、初めて観測による確認に成功した。研究グループによると、円盤内に3つの惑星が存在する可能性があるとし、質量は木星の半分から2倍程度だという。
惑星がガスや塵を追い出しすき間を作る可能性が高いが、星の磁場もガス流の乱れを引き起こしうる。そのため、惑星が本当に隠れているかは完全には断言できないという。
ガス流はまた、惑星の大気獲得の理解にも貢献する。木星型のガス惑星の誕生過程や惑星誕生時の化学組成の理解に役立つだろうと、研究グループは述べている。
研究の詳細は、英科学誌Natureにて10月16日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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December 11, 2019 at 12:29PM
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