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はぐれ惑星が私たちの銀河を駆け抜けていくみたいです - ギズモード・ジャパン

まるでヘッドライトなしで夜に駆ける猛者。

天の川銀河には恒星よりも自由浮遊惑星のほうがはるかに多く存在しているのでは?という大胆な仮説が発表されました。

自由浮遊惑星(rogue planet)とは、惑星並みの質量を持つ天体でありながらも主星の重力に従わず、銀河とともに公転している言ってみれば「はぐれ惑星」。英語の「rogue」は、ならず者とかごろつきだとかあまりいいイメージを持つ言葉ではない分、「rogue planet」と聞くとつい宇宙を猛スピードで駆け抜けていく荒くれ者を想像してしまいます。そんな想像図が、こちら。

Video: NASA Video/YouTube

Astronomical Journal』に掲載された研究は、はぐれ惑星が天の川銀河だけでも何千億、ひょっとしたら1兆個は飛び回っているんじゃないかと見積もっています。もしこれが本当なら、恒星よりもはぐれ惑星のほうが圧倒的に多いことに…!もっとも、学術的には「rogue planet」ではなく「free-floating planetary-mass object(自由浮遊惑星質量天体)」と呼ぶみたいですけど。

「我々がまったく気づいていなかっただけで、宇宙ははぐれ惑星だらけなのかもしれない」と論文の共著者でオハイオ州立大学の天文学者・Scott Gaudi教授はNASAに話しています。それほど、はぐれ惑星は見つけにくいんです。

とにかく見つけにくい

我らが太陽系には8つ(今のところ)の惑星が確認されています。それぞれ太陽の光を反射することで輝いて見えますが、惑星自体が光を発していないため、地球から遠ければ遠いほど観測が難しくなります。

さらに太陽系の外へと視野を広げていくと、惑星の観測はもっと難しくなります。主星の強い光に邪魔されたり、温度が低いために可視光や赤外線で直接観測するのが難しくなるのに加え、とにかく遠い!

はぐれ惑星ともなると、通常の系外惑星よりもっとずっと見つけにくいため、ほぼ不可視。はぐれ惑星はそもそも軌道に沿って規則的な動きをしていないために、どこにいるのかさえも見当をつけられないのが難しさを極めています。

これまでに発見された(またはそれじゃないかと憶測されている)はぐれ惑星はほんの一握り。では、一体どうやって効率的にはぐれ惑星を見つけ出せば?

答えは重力微小レンズ効果(gravitational microlensing effect)にあります。

重力による時空のゆがみを観測

はぐれ惑星を直接観測するのは至難の技。そこで間接的な観測方法として、はぐれ惑星の重力が時空に及ぼす歪みを検知する方法が取られるそうです。

NASAによれば、重力微小レンズ効果は質量が比較的少ないはぐれ惑星でも探し出せる最適なツールなのだそうです。

私たちの視点から見て、はぐれ惑星とそれよりももっと遠方にある恒星とが一直線に並んだ時、恒星からの光が地球に向かって進んでくる途中ではぐれ惑星の重力により曲げられます。その結果、はぐれ惑星の重力が虫眼鏡のような効果を発揮し、恒星からの光を増幅させるのです。この時、恒星があたかも輝きを増すように見えるので、天文学者はこの光の増幅の変化を観測することではぐれ惑星の質量を計算できます

Video: NASA Video/YouTube

さらに、下の動画は地球から見た場合の重力微小レンズ効果を現したもの。手前に惑星を伴う恒星があり、後方には別の恒星があります。

上は望遠鏡の視点で、後方にある恒星の光が手前の恒星の重力によって曲げられる様子が表現されています。下は後方の恒星の明るさの変化を表したもので、ふたつの恒星が一直線に並んだ時に最大限に明るくなる様子がわかります。

Video: NASA Video/YouTube

このような重力微小レンズ効果による光の変化は、ほんの数時間から数日にかけてしか観測できません。非常に感度が高く、しかも同じ視点を保ち続けられる宇宙望遠鏡が必要となってくるのですが、そこで大いに期待されているのがNASAのナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡です。

新しい宇宙望遠鏡、2025年に発動予定

200903_rogueplanets_romanbeauty
Image: NASA

日本も含む国際協力のもと開発が進められており、2025年に打ち上げが予定されているローマン宇宙望遠鏡。このローマン望遠鏡を使って計画されているのが「Roman Galactic Exoplanet Survey(RGES)」です。

5〜6年かけて天の川銀河の一角を丹念に観測し続け、重力微小レンズ効果を探し出すという意欲的なプロジェクトで、これまでの観測方法よりも10倍効率よくはぐれ惑星を見つけ出すことができるのだとか。もちろん、RGESによって発見が期待されているのははぐれ惑星のみならず、すべての系外惑星です。

冒頭の『Astronomical Journal』に掲載された論文は、RGESの本格始動に先駆けてコンピューターモデルによりその効果を試算したもの。膨大な数のはぐれ惑星が見つかると期待されているほか、ローマン望遠鏡の感度をもってなら地球の十分の一の質量しか持たない火星サイズの惑星も検知できるだろうとも推測されています。

重力微小レンズ効果によってはぐれ惑星の大まかな質量を知ることができれば、はぐれ惑星がどのように形成されるのかを解く鍵となります。

はぐれ惑星がどのように誕生するのかははまだわかっていません。いくつか仮説はあって、もともとは主星の周りを公転していた惑星が重力の乱れにより星間空間にはじき飛ばされたとする説や、主星とはまったく無関係に星間ガスと塵が凝縮してできたとする説もあるようです。

ローマン宇宙望遠鏡がこれらいずれかの仮説を証明するか、あるいはまったく別のはぐれ惑星誕生説を提唱してくれることになるでしょうか。または、ローマン宇宙望遠鏡がはぐれ惑星をひとっつも見つけられなかったとしたら、これまでの間接的観測方法を見直さなければなりません。

太陽系は「特別」?

そもそも、なぜはぐれ惑星について調べる必要があるんでしょうか。

じつは、はぐれ惑星が今のところ観測されていない太陽系は、宇宙の中でも特異なんじゃないか、と言われているんだそうです。たまたま太陽系には存在していないだけで、宇宙全体を俯瞰してみればはぐれ惑星は普通にたくさん存在しているものなんじゃないか?と最近になって宇宙を構成している物質の秩序が問われつつあるのです。

なぜ太陽系にははぐれ惑星がないのでしょう…。身近に存在しないものの存在を知らなかったのは当然とはいえ、あることを知ってしまった以上、気になります。そして、もし太陽系にもしもはぐれ惑星が存在していたら…と考えると、背筋がゾクリとします。

Image: NASA (1,2)
Source: NASA (1,2), Astronomical Journal

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September 06, 2020 at 06:00PM
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