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仲間とつながる(上) - 読売新聞

 久しぶりの部活に、胸のどきどきが止まらなかった。「10歳以上も年下の高校生と部活ができるなんて」「レベルが高すぎたらどうしよう」。期待と不安が交互に押し寄せてきた。

 大型連休のまっただ中の5月1日。僕は初めてeスポーツに挑戦した。

 中高生新聞編集室の記者である僕が、テレビにゲーム機をつないだわけを正直に言うと……。緊急事態宣言が出されていたので、活動している部が見つからなかったからだ。

 救世主となってくれたのが、N高だった。2016年創立の通信制高校。インターネットなどを通じて授業を行っている。「角川ドワンゴ学園」が運営しており、プログラミングやゲーム、文芸などの授業もあるユニークな学校だ。

 部活もネットを通じて活動しているので、新型コロナウイルスの影響を受けない。“体験入部”させてくれたN高には感謝しかない。

 この日は、シューティングゲーム「フォートナイト」の初心者講習会。N高eスポーツ部は300人ほどの大所帯で、ゲームごとの分科会がある。

 いよいよ部活がスタート。「楽しみましょう」「久しぶりだね」。音声や文字でやりとりできるチャットアプリからは部員のワクワク感が伝わってきた。僕が中学の陸上部だったとき、部室で着替えながらおしゃべりしていたのと同じだろう。

 指導してくれるのは、プロゲーマーのKilluA(キルア)さん。強豪プロゲーミングチームに在籍していることもあって、eスポーツ界では知られた存在だ。

 そのキルアさんがたびたび指導してくれる。日本のトッププレーヤーが部活にかかわる競技なんてないのでは? うらやましすぎるぞ。

 銃を使って参加者が戦い、最後まで生き残れば勝者になる――。簡単に説明するとこうなるが、世界で3億人がプレーするというこのゲームの奥はもちろん深い。

 講習会前に義理の弟とチームを組んで練習してみたが、あっという間に撃たれてKOされてばかり。義弟が生き残っている間に回復させてもらい、またフィールドに戻ることの繰り返し。

 撃たれる前に撃たねばと思い、射撃の極意を教えてもらいたかったが、キルアさんからの指示は「建築の練習をしましょう」。

 フォートナイトでは、壁や階段を作って、攻撃の拠点にしたり、防御に使ったりができる。「相手より早く高所を取れば、攻撃しやすくなります。建築が下手だと勝つことはできませんよ」とキルアさん。

 そう言うと、あっという間に壁と階段を作って駆け上がり、ショットガンの銃口を下に向けて構えた。これが、プロの技とスピードか。

 部員も建築に取り組む。「のみ込みが早いですね」と声をかけられた部員はうれしそうに「ありがとうございます」。一方の僕は、「ゆっくりで大丈夫ですよ」と慰められてしまった。

 建築の練習ばかり2時間。何事も基礎が大事だということだろう。

 練習後、キルアさんが述べたあいさつが印象的だった。

 「きょうは参加してくれて、とてもうれしかったです」

 「大事なことは楽しむことです。楽しんだ先にガチでやったり目標ができたりします」

 「仲間と切磋琢磨(せっさたくま)することで強くなっていきます。そういう仲間を見つけ、つながりを大切にしてください」

 部活って本来はこうだよな、と思ってしまった。

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