好きな飲食店や好物の話を聞けば、その人の人となりが解るというもの。ゆえに「名は体を表す」ならぬ、「食は体を表す」なのである 。この企画では、外国籍の著名人の方々にご登場頂き、行きつけのお店をご紹介してもらいます! 意外なお店のチョイスに驚くこと必至! 彼らの食に対する感性と経験が垣間見えちゃうんです。第26回は、ヒョンギさん。今回は「海雲台(ヘウンデ)2号店」に伺いました!!
韓国式の刺身は、日本のモノとは大きく異なる。まず、量が圧倒的に多い。さらに、お刺身だけを注文しても、何種類もの突き出しが無料で提供されるのだ。
「韓国では食事にある程度の量がないと、情がないと思われるんです」
と話すのは、韓国出身のコメディアン、ヒョンギさんだ。最近では、ワイドショーなどで韓国芸能に関するコメンテーターとしても活躍中。2007年に日本人女性と結婚し、1児を育てる良きパパでもある。
今回、そんなヒョンギさんが案内してくれたのは、新宿区歌舞伎町にある海雲台。釜山市にあるリゾートの名を冠したお店で、韓国式の“情”たっぷりな海鮮料理を楽しむことができる。
来店時いつも頼むという「廣岸里(クァンアンリ)セット」コース(3~4人前、1万2千円)を注文すると、次々と料理が運ばれてくる。気が付くとテーブルには、サラダにムチム(韓国風和え物)、2種のチヂミに冷奴、海老を焼いたものに、カンジャンケジャン(カニの醬油漬け)が。
「すごいボリュームでしょ(笑)。いつもメインの刺身が出てくる前に、おなかいっぱいになっちゃうんですよ」
そう話すヒョンギさんが、留学のため来日したのは、1992年のこと。すぐ隣にある、似たような国だと思っていた日本は、だが想像とは異なっていた。
「ごはんに生卵をかけて食べたり、スイカに塩をかけたり、女性と食事に行っても割り勘が普通だったり、食に関する驚きはホント多かったです。いい驚きだと、日本人の女性はみんな親切で優しかった。ただ、結婚すると豹変しましたがね(笑)」
話していると、お店の社長のユウさんがタイとヒラメの刺身盛り合わせを運んできた。
「刺身には醬油もいいですが、コチュジャンにワサビを入れたものも合います。あと、私特製のつけダレも最高ですよ! ぜひ試してみてください」
コースのシメは、メウンタン(韓国式あら汁)だ。ヒョンギさん曰く、
「うま味と辛味で、シメなのに、またお酒が飲みたくなる味です」
これで1人当たり3千~4千円! もう大満足です!
「週刊新潮」2020年2月6日号 掲載
新潮社
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