検証! 積もる話のある仲間ですらカニの前では無力なのか
人類と甲殻類の永遠の命題。
「なぜ人はカニを食べていると押し黙ってしまうのか」
その検証のため、久しぶりに会う同級生を連れてカニ食べ放題の「蟹奉行」を訪れました。
「カニと聞いたらすぐ来るよ~」
新宿東口から徒歩約3分のカニの楽園に、脂ののった40代ふたり来たる。
左はメシ通ライターでもあるkagezou氏、右は大手町で喫茶店を営むあーべ氏。
ともに大学時代の友人であり、会うのは久しぶり。
積もる話の高さ20m越えで立山黒部アルペンルートレベルである。
▲立山黒部アルペンルート
ともあれ、店内を進むとあらわれる、数え切れないほどのずわいガニ。
これをどれだけでも90分食べ放題で、税込み6,578円(小学生3,058円)である。
なんでも、「おいしいものを安くたくさん食べてほしい」というのが経営理念で、「一年中カニを安心してお腹いっぱい食べられる業態はないんじゃないか。私たちがつくろうじゃないか」とできたのが「蟹奉行」。
水産流通のプロを招き入れ、シビアな値交渉でコストダウンを図っているそうな。
写真を撮ろうと集中して見ていると、カニがゲシュタルト崩壊してくるほどの足の数だ。
聞けば、最新設備の整った船で獲りに行き、水揚げされてからすぐに船上冷凍するため、冷凍せずに生のままで運ばれるカニよりも鮮度が保たれるのだそう。水揚げ時期や船籍ブランドにもこだわりがあるという。
また、今回食べたカニはカナダからのカニだが、時期によってロシア産も仕入れており、それもまた上品な甘みが格別だとか。
振り返れば蒸されたものも。
貝、海老、帆立などのシーフードや焼き肉、スイーツなども並び、90分食べ放題。
この日は売り切れだったが、カニコロッケも人気らしい。
さあ皆の者、カニを取れ。
取れ、いや……獲れ! 食べられる分だけ!
ほじれ! 焼いたっていい!
蟹刺し(別料金+1,078円)もいただくことにしよう。
焼かずに食べるとなると、また旨味が違う。身がとろっと舌で溶けて、濃厚。
さあさあ、ごちそうを囲んでお互いに近況報告でもしようじゃないか。
かつての仲間たちとの「積もる話」は……
かんぱーい!
ふたりは大学のサークル仲間。
基本的にサークルの仲間というのは、趣味嗜好に似たところがあったりして話題の尽きないものだ。
しかも30代~40代のクソ忙しい時期をそれぞれがんばってきた仲間とあって、会わなかった間の互いの激動には目を見張るものがありしゃべれどもしゃべりきらず、聞けども聞き足りずといった感じで……。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・。
しゃべれや!!
「……えっ!? あ、ああ、うまいよ! 身がつまった、美味しいずわいだね~!」
メシ通ライターなのに、促さないと食レポすら皆無のkagezou氏。
今、彼の頭のなかはカニでいっぱい。
オンリー蟹。そして無言。
そして、
喫茶店を営む前は信用金庫で働いていたあーべ氏。
さては……。
でた!!!!
カニの身を貯めてから食べるタイプ!
元信金マンらしい食べ方!
「ほふぁにカニの食べ方なんてふぁふ?(他にカニの食べ方なんてある?)」
知らんし。ほおばるなし。
それにしてもしゃべらんな、同窓生たちよ。
人はなぜ「カニ食べ放題」の店に行くと無言になるのか。
至極単純だ。その理由とは、
「カニの美味しさと、カニを剥く行為に集中してしまうから」に他ならない。
店内に耳を澄ましてみても、聞こえるのはBGMと食器の触れ合う音しかしない。
まさか店中のお客さんがみんな無言でカニをむさぼっている……?
「店内が静かすぎるので、BGMの音量を少し大きめにしています」
というわけで、店長の上條さんにお話を聞いてみました。
▲「一番好きなカニはやっぱりずわいですね。身のきめ細やかさと旨味が違います」
──いつも店内はこんなに静かなんですか?
店長:そうですね。耳を澄ましてもあんまりお客様同士の会話が聞こえないでしょう。だからBGMの音量を少し大きめにかけているんですよ(笑)。そうじゃないとお通夜みたいになっちゃうから。
──「カニの前に人は無言」説が、いきなり立証されました。
店長:聞こえるとしてもため息とか、「うぅ!」とかいううなり声で。やっぱり、カニを剥く作業って集中が必要ですし、夢中になってしまうから、皆さんどうしても無言になるのかもしれませんね。
──我々の席も、やはりひたすら無言で食べておりました。
店長:本当に静かすぎて、いるのかいないのかわからないような個室も多くて。ちょっと部屋を覗いてみて、荷物のあるなしを確認することも。
予想以上の実態!
つまりはそれほどに! カニをどうしても口に入れたい人々は、無言で集中してカニに取り組むのであります。
「静けさ」=「カニの魅力」に比例すると言って過言ではないでしょう。
そしてこれはおそらく、「カニの剥きにくさ」も大いに関係するところなのではないでしょうか。作業に没頭するあまり無言になってしまうという側面は見逃せません。
店長にカニの剥き方のコツを聞きました
せっかくなので、店長においしい蟹の見分け方、剥き方などをレクチャーしてもらいました。
店長:カニを選ぶときは、殻の固いものがいいですよ。一度ボイルされたカニは、冷やして食べるのが一番。身がしまっておいしいと思います。
店長:剥くときは、殻の「固くて赤い方」をこうやって谷折りにします。
店長:親指に力を入れて、ボキッ。
ずるーん!
店長:はいどうぞ。
一同:わーっ。この上なくうまそう!
自分でもやってみたけど、いとも簡単に身が……。
「どっち側に折るか」というシンプルなコツながら、効力がすごい。
はさみの部分は、ぎざぎざの殻割りが付いたキッチンバサミを使って、先の方を割ります。
さっそく実践。
「この辺ね……」
ぷりーん! いとも簡単にうまそうなはさみの身が。
店長:足の付け根の部分は、真ん中から縦にハサミを入れて……。
店長:押し広げてから鍋に入れると、身が自動でほぐれてくれます。カニ雑炊をつくるときはこの方法がおすすめですよ。
さあ、残り時間がせまってきたぞ。
店長に教わったやり方で剥くべし!
剥くべし!
そして食うべし!
スパートをかける我々。見よ、この山と積まれた殻の量を。
ぷはーっ、ごちそうさま!
「殻の剥き方も教わったし、今度はもっと食べられる気がするな~」と満面の笑みのカニおじさんず。入ったときと同じ立ち位置やめろ。
この後我々3人は、「なんだか話、し足りないね」と言いあいながら夜の新宿に消えました。
結論:カニを食べに行く際は、しょっちゅう会っていて話し込む必要のないメンツで行くことをお勧めします。
店舗情報
蟹奉行 新宿東口店
住所:東京都新宿区新宿3-20-5 ニューサンパークビル4F
電話:050-5287-5470
営業時間:月〜金 17:00~24:00(最終入店 22:30)
土・日・祝 12:00〜24:00(最終入店 22:30)
定休日:なし
書いた人:矢島史
食うこと飲むことでメンタルをやりくりしているライター。収納やライフスタイルなど暮らし系の書籍の執筆協力、広告・クリエイティブ系の方々のインタビューなど。4コママンガも描くんだけど、今はPTAの仕事が大変でお休み中。脳みそがあっちこっちに飛んで落ち着きのない四十路。
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February 05, 2020 at 04:30AM
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