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公園で働くと人はどうなる? 誰もが自然体でいられるparkERsの働き方 - ライフハッカー[日本版]

ユニークな制度やカルチャーを持つ会社のさまざまな働き方が集まる連載企画「Workstyle Station」。今回訪問させてもらったのは、株式会社パーク・コーポレーションが運営する「parkERs(パーカーズ)」です。

植物を使った空間デザインをメインに行なうparkERs。2019年11月に移転したばかりのオフィスは、緑、緑、緑! 一見すると森の中で仕事をしているかのよう。

今回は、ブランドマネージャーの梅澤伸也さん、プロデューサーの佐藤瑠美子さんに、parkERsのオフィスについて、そして具体的な働き方について教えてもらいました。

今回訪問したオフィス:parkERs(パーカーズ)

業務内容:空間プロデュース・空間デザイン・植物を使った企画、ブランディングなど

エリア:東京都港区

オフィスの広さ:70.3坪(1フロアを利用)

従業員数:59名

定時:09:00~18:00

* * *

まずは「緑は人を豊かにする」という信念を持つ梅澤さん。このオフィスでどんな試みをしているのでしょうか?

オフィスのコンセプトは?

わたしたちのブランドコンセプトでもある「日常に公園の心地よさ」を届けることです。

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株式会社パーク・コーポレーション 梅澤伸也さん。parkERsブランドマネージャー。自身のアフリカでの経験をきっかけに自然や植物の潜在的な力に気づき、植物を活用した空間づくりを牽引。
Photo: 松島 徹

「都市部で生活している人にとって、公園は笑顔になれる場所ではないかと思っているんです。公園に来る目的は、ランニング、絵を描く、犬の散歩など人によってさまざまですよね。

ただ、共通点があります。それは、帰っていくときはみんな笑顔になっていること。そういう場が都会には必要なのではないか、公園を室内で再現したら何かいい効果が生まれるのではないか、と思ったんです。」

さすが、花と緑のスペシャリスト集団。オフィスはまるで室内とは思えません。一見、植物が想像以上に多く自由奔放な空間に見えてしまいますが、きちんと機能性も考えた設計になっているのだそう。

みんなどうやって働いているの?

オフィスにある3つのパークを目的によって使い分けて、自分の働き方を自分でデザインしています。

「移転前のオフィスは固定席だったんですが、今はフリーアドレスにしています。社員それぞれが成果の出し方を自分でデザインできるような設計にしました。

アイデアを出したいとき、誰かとコミュニケーションをとりたいとき、とにかく集中したいとき。その時々でそれぞれが一番成果が出せる方法で仕事ができるよう、エリアを適宜使い分けて働けるようにしています。」

「働き方をデザインする」なんてまさにデザイナーの考え方…! そんなparkERsのオフィスは、次の3つのパークに分かれています。

インドアパーク

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Photo: 松島 徹

オフィスの入口から右側に広がるエリア。ひと際目を引くがあり、その周りに1枚板で作られた大きなデスクが置かれています。

オープンな空間なのでコミュニケーションがとりやすいのが特徴。「誰かと話がしたい」「話しかけてきてもいいよ!」というときに使うエリアです。

アウトドアパーク

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Photo: 松島 徹

入口を入って左側のエリア。開放的な窓に向かってデスクが配置されていて、そこにはなんとブランコの席も!

床はウッドチップが敷き詰められており、廃材を利用した丸太のイスが置かれています。ここではかなり目線が下がり、カジュアルに話をしやすい雰囲気に。

自然光を浴びたり、ブランコに揺られたり、ときにはここでランチを食べたり。リラックスしてアイデアを生み出すのに適したエリアと言えそう。

フォレストパーク

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Photo: 松島 徹

木々に囲まれながら集中して仕事をしたいときに利用する、オフィス一番奥のエリア。完全に区切られた個室でもないため、必要に応じてコミュニケーションもとれます。インドアパークやアウトドアパークで浮かんだアイデアを形にするときに、このエリアで作業をする人が多いんだとか。

「1日8時間、同じ席・同じやり方で成果を出せというのが、今までのオフィスのあり方。でも、これからは成果の出し方を自己認識して、自分の働き方を自分でデザインする場を整えることが大切。それがこのオフィスの目的でもあります。」

parkERsのオフィスに足を踏み入れたとき、「なんでブランコがあるの?」「なんで池があるの?」とびっくりしました。そして、その空間の中で普通に座って作業している人がいることに2度びっくり。でも、単に奇をてらっているわけではなく、ちゃんと理由があって配置されているんですね。

parkERsならではのルールはある?

自分の居場所を伝える目印として、ネーム入りの「マイ一輪挿し」を使っています。

「出社したらまず自分の花を持って、作業したい席に挿しておきます。また、花は季節に合わせて毎週変えています。

(花や植物に)いままでにはない価値を創るためというわけでもなくて、コミュニケーションのきっかけ作りという側面があるんですよ。今はオフィスが便利になりすぎていて、コミュニケーションのきっかけがない状態だと思うんです。

植物は、国籍や人種、性別に関係なく話題にしやすいんです。“この花キレイですね”“ちょっと君の花元気ないね”。そんな一言からコミュニケーションが生まれて会話ができればいいなと。」

実際に使われている「マイ一輪挿し」
ネーム入りの「マイ一輪挿し」。写真は別日に撮影されたものだが、インタビュー当日はアルストロメリアが「今週の花」として使用されていた。
写真提供:parkERs

花を持って社内を移動するなんて、とってもセレブ!と思いましたが、梅澤さんの話を聞いているとかなり合理的な理由が。それに、おじさんが花を持って社内をうろうろしている姿を想像すると、なんかそれはそれで和みます

「自分の花が枯れたらかわいそう!」と思うと、毎日出社するモチベーションにもつながりそう。

植物を配置するうえで大切なことは何?

一番大切なのは、やっぱり感性。

「どの植物をどこに置くことで、どう感じるか。ここに木があったら気持ちいいよね、これだけの密度があるとちょっと威圧感があるよねとか、そういう感性は大事にしています。」

parkERsでは、リラックス効果のある植物、集中を促す植物などを示す独自のマッピングを持っているそう。そのために、植物と人の相関関係をきちんと科学的に分析して、エビデンス化にも取り組んでいるのだとか。

感性を重視するだけでなく科学的根拠もあると、「うちでもやってみたい!」ともっと思わされますね。

梅澤さんが考える「働きやすさ」って何?

働き方の選択肢が多いことだと思います。その前提として、自分を正確に把握する必要があると思っています。

「今日の自分はちょっと感情が不安定だから、もし誰かに話しかけられたら怒ってしまうかもしれない。そういうことを自分できちんと認識した上で誰かと話すのと、自分でもよくわからずにただイライラしているだけでは、結果が変わってくるんですよね。

だから、すべては自己認識から始まると思っています。そのうえで働き方や成果の出し方を選べたらいいですよね。」

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「parkERsのオフィスをぜひ訪れてほしい!」と話す梅澤さん。公園に行ったときの肌で感じる清涼感、静かな中聞こえてくる木々の葉が触れ合う音。そうした感覚をぜひ体験していただきたい。
Photo: 松島 徹

何もかもが整えられて便利になりすぎたいま、自分自身を見つめ直す機会が少なくなったなあと話を聞いてしみじみ。

自然に限りなく近い、ちょっとくらい不便な環境の方が、「自分ならどうする?」「いま何が必要?」と考えるようになりそう。

* * *

お次は、入社して3カ月ほどの佐藤さん。前職も空間設計のデザインをしている会社だったそうですが、parkERsではどのように働いているのでしょうか?

オフィスではどんな1日を過ごしているの?

1日の予定を見て、どこの席に座ろうかなと考えるところからスタートします。

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株式会社パーク・コーポレーション 佐藤瑠美子さん。parkERsプロデューサー。花や緑に囲まれた環境を普及すべく、事業の企画立案に携わる。
Photo: 松島 徹

「出かけることが多いときは、出入り口に近いインドアパークやアウトドアパークにいることが多いですね。逆に、がっつり資料を作りたいときは、フォレストパークにどっかり腰を据えて、という感じでその日の仕事や予定に合わせて働く場所を変えています

でも、1日中同じ仕事をしているわけでもないので、とりあえず『今日の拠点』を決めて、その時々で移動しながら働く感じです。」

以前の職場もフリーアドレスだったと言う佐藤さん。何か違いはありますか?

エリアごとの使い方に余白があって、自由さが残されているところ。

「前職では、『ここではこれをする』といった具合にエリアによって専用の家具があって、やることが決まっていました。parkERsは、このアウトドアパークで誰かとしゃべってもいいし、ランチをしてもいいし、テーブルを持ってきて図面を広げて見てもいいし、使い方を自分たちで決めていいんです。設計した人がどこまで意図していたのかはわかりませんが(笑)。」

まさにフリーアドレス! 席も使い方も自由なんですね。

オフィスで働いていてびっくりしたことはある?

窓際の植物に花が咲き始めたことに感動しました!

「ブランコに乗りながら、どうしようかなってすごく悩んでいるときに、パッと上を向いたら花が咲いていて。それでハッとなって(笑)。そういう感動って、オフィスでなかなか味わえないじゃないですか。それが衝撃的でした。」

日常に変化を与えてくれるのは植物の最大の特徴。何だかそれがきっかけでアイデアやひらめきも生まれそうですね。

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Photo: 松島 徹

ただ正直、仕事中にブランコに乗っていることのほうが衝撃的なのですが! ちなみに、ブランコに乗るときってどんなときですか?

アイデアに煮詰まっているときが多いかも。

「後ろからブランコに乗っている人を見ていても、こぎ方や揺れの大きさでいま悩んでいるんだなとかわかりますね。」

ブランコに乗ることで、その人の感情までわかるんですね。ブランコ万能じゃないですか! ライフハッカー編集部にもほしいな…。

植物はもちろん、池や水槽があるオフィスってどう?

初めはびっくり! ただ、個人的にがすごくいい影響を与えているなと感じます。

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壁面緑化や室内での生態系づくりを行なう実験エリア。水槽内の魚たちへのエサやリは当番制なのだとか。
Photo: 松島 徹

「見た目のインパクトはもちろんですけど、私は音がいいなと思っていて。このサイズ感のオフィスで、音とどうやって付き合っていくかを考えると、音楽を流すのが手っ取り早いんですが音楽は個人の好き嫌いがありますよね。でも、水は自然界の音なので、好き嫌いがなく、受け入れやすいんです。

また、ずっと水の音が流れていることで、誰かがちょっとしゃべっていたりしてもそんなに気にならない。サウンドマスキング的な効果があると思います。」

確かに。このインタビューはアウトドアパークで行いました。オープンスペースなので周囲に人はいるし、ほかのお客さんが見学に訪れていたりと、かなり騒がしい状況だったのにインタビュー中はあまり気になりませんでした

個人的に加湿の面で水があるのはいいなと思っていたのですが、サウンドマスキングの話を聞いて、なるほど納得。

佐藤さんにとって「理想のオフィス」って何?

来たいと思わせるようなオフィスだと思います。

「誰だって朝の通勤ラッシュは嫌だし、作業をするだけなら家でもいい。オフィスに来るのは、チームメンバーに会うためというのもあるんですけど、一方でずっと一緒にいるのは疲れるというのも事実で。

人と話すとき、緊張せずにラフに話せる空間があったり、ちょっと休憩できるスペースがあったり。そのバランスがとれたオフィスがすごくいいなと思います。」

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Photo: 松島 徹

佐藤さんが以前デザイン提案を担当したオフィスには、いわゆるリフレッシュルームがあったそう。ソファーがどっかり置かれていて、ゆったりと座れる空間。それはそれで1つの方法ではありますが、オンを保ちながらリフレッシュできるというのが、parkERsのオフィスの特徴!

また、リフレッシュルームは弊害もあるんだとか。

リフレッシュルームに行くと「あいつサボってるよ」と見られるかもしれないと思って、なかなか利用しづらいという声もありました。

そう考えると、シームレスに仕事もリラックスもできるparkERsのオフィスは、1つの理想型かもしれない…。

まずは小さな鉢植えから始めてみよう

今回訪問して感じたのは、「なんてシームレスなんだ!」ということ。

誰がどの部署の人なのかとか、もっと言えば誰が社員で誰がお客さんなのかすらわからないほど垣根がまったくない誰がどこで何をしていても自然であるさまは、まさに公園で各々が好きなように時間を過ごしているかのよう。

ただ、オフィスにこうした効果を出したくても、ここまでの要素を取り入れるのはなかなか難しい…。

そこで朗報です。梅澤さんによれば、parkERsのようにたくさん植物を置かなくても、鉢植え1つデスクに置くだけで効果はあるとのこと。周辺視野に緑があることが重要なようです。

いきなり大掛かりなオフィス改革は難しいけど、小さな鉢植えを買ってデスクに置くだけなら今すぐできます。「たったそれだけ」と思うかもしれませんが、その行動があなたの働き方をちょっとだけ変えてくれるかも

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写真提供:parkERs

Photo: 松島徹

Source: parkERs

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January 16, 2020 at 10:00AM
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